バッハ「シンフォニア No.1」で奏でる三声の世界|初心者が挑む対位法の第一歩

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3本の旋律が語り合う、バッハの「シンフォニア No.1」

バッハの「シンフォニア」は、二声で構成された「インヴェンション」に続く、三声(3つの旋律)による練習曲集です。特に「シンフォニア No.1 ハ長調 BWV 787」は、全15曲の中でも最も親しみやすく、明るく清らかな響きが特徴です。

三つの旋律が互いに絡み合いながら進行する構造は、音楽の立体感や論理性を学ぶには理想的な教材。アレンジされた初心者版なら、譜読みしやすく、三声の世界に安心して飛び込むことができます。

初心者が取り組むメリット

ハ長調のやさしい調性で譜読みしやすい

白鍵中心の構成で、音の構造を視覚的にも理解しやすい。初心者でも鍵盤上で迷うことなく練習できます。

旋律が明快で構造が理解しやすい

3つの声部それぞれが独立しながら美しく響き合うこの曲は、複雑さの中に“秩序”があり、練習の中で自然と音楽的構造を体感できます。

左右だけでなく“中声部”を聴く耳が育つ

初学者が見落としがちな中声部(主に右手と左手が交互に担当)が存在感をもって動くため、音楽全体のバランスを意識する練習になります。

バッハとシンフォニアの魅力

“すべての音に意味がある”音楽

シンフォニアには無駄な音が一切なく、3つの旋律がそれぞれ役割を果たしています。旋律の重なりをどう聴くか、どう感じるかを学ぶことで、音楽の本質に近づくことができます。

精神の訓練と音楽的快感の両立

バッハはこの作品群を「ピアノ学習者のための精神的訓練」と呼びましたが、決して学問的な堅さだけではなく、美しさ・爽やかさ・エレガンスが共存しています。

この曲で得られる演奏力

声部の弾き分け能力

主旋律だけでなく、対旋律や補助旋律にもしっかり意識を向けることが求められます。複数の音を“聴き分けて弾く”耳が育ちます。

音の流れの中にある論理の把握

各声部がどう模倣し、どう展開していくかを理解することで、単なる音列の再現ではない“音楽を作る”意識が芽生えます。

指の独立とコントロール

異なる動きをする3声を弾くには、指の独立が不可欠。この曲を通じて、手や指のコントロールが一段と高まります。

練習のポイント

各声部を個別に練習

まずは1声部ずつ片手で練習し、それぞれの動きと旋律性を理解しましょう。その後、2声・3声へと段階的に重ねることで、無理なく仕上がります。

フレーズの始まりと終わりを感じる

3声の音が“流れるように”進行するよう、各フレーズの呼吸や重みを感じながら弾きましょう。メカニックにならず、あくまで「歌う」ことを忘れずに。

メトロノームで一定テンポを維持

シンプルなテンポでも、3つの声部を揃えるにはリズム感が必要です。メトロノームで練習し、縦のラインを整えましょう。

楽譜・MIDIデータのご案内

バッハの「シンフォニア No.1」は、教育目的でも広く使われており、初心者用に簡略化されたアレンジも出版されています。ヤマハミュージックデータショップでは、各声部ごとの再生やテンポ調整ができるMIDIデータも提供されています。

音が語り合うとき、音楽は真の深みに達する。
バッハの「シンフォニア No.1」は、ピアノの上で“対話”する喜びを教えてくれる一曲です。
あなたの耳と指で、この調和の世界を紡いでみてください。

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