途中まで続けたからこそ、今からがチャンス ~大人のピアノ学習をあきらめない考え方~

目次

はじめに


大人がピアノを始めるとき、最初はモチベーションに満ちあふれていても、しばらくすると「思ったより大変」「忙しくて練習時間が取れない」と感じてしまうことが多いかもしれません。途中までやったけれど、いつの間にか練習が途切れて「こんな状態で続ける意味はあるのだろうか…」と、せっかくの学習を諦めかけている方もいるのではないでしょうか。

しかし、もし途中まででも練習を積んできたなら、その時間やお金、気力は決してゼロではありません。途中まで学んだことで得たスキルや感覚、音楽への興味など、それらは大きな財産になっているはずです。「今さらやめるなんてもったいない」――そう思えるだけの蓄積があるなら、もう一度腰を上げてみませんか。

本記事では、大人がピアノを途中まで習ったのに挫折しかけている状況を打破するための考え方と具体的なアプローチを提案します。これまでの時間や投資を無駄にしないために、そして何よりあなた自身の音楽への想いを再燃させるために、ほんの少しの行動が大きく未来を変えるかもしれません。

途中までやったからこその「もったいない」感

投資した時間とお金を振り返る

ピアノ学習を始めるとき、多くの大人は教室の月謝を払ったり、楽器を購入したり、教材を買ったりと、何かしらの投資を行います。それだけでなく、練習に費やした時間や、指導を受けるために取った休みなど、目には見えないコストもあるでしょう。

途中までやった段階ですでに、それなりの労力や資金を投下しているのだと改めて意識してみてください。すると、「それならせめて基礎だけでも身につけようか」「これで諦めたら今までの努力が本当になかったことになる」と思えるかもしれません。一度振り返るだけで、「もう少し頑張れば報われるかも」という気持ちが自然と湧き上がりやすくなるのです。

最初の苦労が「積み重ね」になっている

たとえ自分では「全然うまくなっていない」と思っていても、最初に読譜で苦労した時間や、指使いに戸惑った経験は、少しずつあなたの中に蓄積されています。かつては全くわからなかった五線譜の意味が、今はそれなりに読めるようになっていませんか。

こうした一見小さな進歩こそが大きな財産です。途中でやめてしまうと、せっかく得たこの基礎がほとんど活かされないまま終わってしまう。そう考えると、「ここで終わらせるなんてやっぱり惜しいな」という思いが強くなるのではないでしょうか。

人間は途中までやったことを無駄にしたくない

本能的に「途中でやめると損」と感じる

新しい趣味や習い事で、最初の段階が一番辛いという説があります。譜面の読み方、指の動かし方、一からの練習は慣れないことばかりで苦労が大きいでしょう。しかし、その苦労は決して消えるものではなく、学習を継続するかどうかの糧になります。

私たちには「ここまでやったんだから、もう少し続けたい」という感情が備わっている面があります。これは人間が投資や努力を無駄にしたくないという気持ちの表れでもあります。もしあなたが途中でやめようと迷っているなら、「せっかくここまで覚えたことがあるのに、それを捨てるなんてもったいない」と再認識するだけで、やる気が蘇るかもしれません。

過去の自分を肯定するためにも続ける

一度始めると決断したのはあなた自身です。その時の自分には「ピアノを弾きたい」「音楽を楽しみたい」という確かな思いがあったはず。途中で投げ出してしまうと、そのときの自分の選択を否定してしまう気分になりませんか。

「やっぱりやめた」という結末にするより、「あれは正しい選択だった。結果、少しずつでも弾けるようになった」と誇らしく思えるほうが、過去の自分と今の自分の両方を肯定できます。これもまた、途中投げ出しを防ぎ、続ける動機のひとつになるでしょう。

こんなときこそ「継続」を選ぶと得られるメリット

すぐ再スタートできる基礎がある

途中までやっていたことを続ける最大の利点は、また一から始めるよりも遥かに再スタートしやすいという点です。もし全く触れたことがない人が今からピアノを始めるなら、五線譜を読むところから苦労するかもしれませんが、あなたはすでにいくらかの基礎があるはず。

だからこそ、少しブランクがあっても意外とすぐ指が動いたり、譜面が読めたりするものです。せっかくこの下地を作ったのに、やめてしまうと本当にもったいない。まだ活かせる余地がたくさんあるのです。

モチベーションが戻りやすい

完全に初めての場合、最初のうちは一歩進むたびに「本当にできるようになるの?」という不安が大きい。でも、途中までやった人は「実際ここまではできるようになった」という成功体験がすでにあるため、その感覚を思い出せばモチベーションが戻りやすいです。

「前、あのフレーズが弾けるようになって嬉しかった」と思い返せると、「じゃあ次はもう少し続ければもっと弾けるかも」と前向きになれるのです。完全な初心者にはないアドバンテージを活かして、もう少し先に進んでみませんか。

再スタートを楽にする工夫

小さな目標を設定し直す

途中までやっていたのに伸び悩んでいる場合、「大きな目標を掲げすぎていた」可能性もあります。そこで再スタート時には、より小さく区切った目標を作り、段階的にクリアしていくのがおすすめです。

「1週間でこのフレーズだけ覚える」「まずは左手の伴奏を安定させる」「イントロだけ弾けるようになりたい」といった目標を小さめに設定すれば、達成感が得やすくなり、「やっぱりやってよかった」という感覚が返ってくるのです。

レッスンやコミュニティに参加してみる

独学で挫折しかけたなら、思い切って教室に通うか、オンラインコミュニティに参加して刺激を得るのも手です。専門家の目から見ると、「そこまで弾けてるなら十分伸びますよ」と言ってもらえることもありますし、仲間からの励ましも大きな後押しになるでしょう。

一度習いかけた段階で持っている技術や知識を、先生や仲間が「もったいない」と評価してくれるかもしれません。すると「せっかくここまで来てたなら、もう少し頑張ろう」という気持ちが生まれやすい。人に見せるのが恥ずかしいと思うかもしれませんが、見せるからこそ励みを得られる面は大きいです。

実際に続けた事例や体験談の力

数か月のブランク後に復帰した人の話

実際に、大人のピアノ学習者の中には「仕事が忙しくなって3か月まったく弾かなかったけど、また再開した」という人が数多くいます。最初は「もう弾けないかも」と思っていても、鍵盤に触ってみたら意外と指が覚えていて、「あの曲の途中までなら弾ける!」と発見することがあるそうです。

この感覚は「途中まで積み重ねた努力」が生きている証拠ですよね。もしあなたも似た経験があるなら、「やめちゃうのはやっぱり惜しいな」と思えるはずです。ちょっとしたブランクは意外と大きな障害にはなりません。

あらためて昔の録音や練習メモを見返す

途中まで練習したときに撮った動画や録音があれば、改めてそれを見返してみると、「当時はこれだけ弾けてたのか」「あの頃よりは今のほうが譜読みが早いかも」と、ちょっとした変化に気づくかもしれません。

過去の自分を客観的に見ることで、「成長していないと思っていたけど、そんなことはない」「苦労した分は確かに形になっている」という事実がわかります。これが「今から練習を再開すれば、さらに伸びるかもしれない」と思う大きなきっかけになるでしょう。

時間や費用を挽回するチャンス

ピアノは長く付き合える趣味

大人が途中でやめる理由の一つに「今までかけた時間とお金が無駄になるのが怖い」という想いがあるでしょう。けれども実際には、ピアノは人生のどの時期になっても、少しずつ上達を続けられる趣味です。仮に今多少のブランクがあっても、再開してコツコツ続ければ、将来にわたって楽しめる可能性が十分に残されています。

すでに投資してしまった分を「もったいない」と感じるなら、それこそ再開する絶好のチャンスです。投資の効果を最大化するには続けるしかありませんし、やればやるほど累積した練習分が活きてくるからです。

前向きに考えると、意外と費用対効果は高い

ピアノが高い買い物、教室の月謝が大変と感じるかもしれませんが、もし続けられれば、長期的に見れば費用対効果は決して悪くないかもしれません。旅行やイベントにはその時だけの価値がありますが、ピアノは一度身につければ何年も、あるいは一生弾ける可能性があります。

途中までやっているあなたは、すでに初期投資の一部を終えているようなもの。買った楽器もある程度使いこなしているはずです。そこに少しでも追加の練習時間を積んでいけば、趣味としての価値がどんどん上がっていくと考えれば、実はチャンスを逃している状況なのかもしれません。

モチベーションを再燃させる具体策

お気に入りの曲をあえて変える

もし今、飽きたり難しすぎたりしてモチベーションが下がっているなら、一度学んでいる曲を変えてみるのも手です。気分転換として別の曲に取り組むと、新鮮な気持ちで鍵盤に向き合えることがあります。

ずっと同じ曲に固執すると疲れやストレスが溜まりやすいですが、別の曲に挑戦しているうちに「前の曲に戻ってみようかな」という気になったり、両方を少しずつ学べたりして意外といい循環が生まれることもあります。

短い練習でもSNSや仲間に報告

再スタートを宣言するなら、「今日は10分だけ弾いた」「久々に鍵盤に触れた」などSNSやコミュニティで報告すると、意外なほど励ましの声をもらえるかもしれません。大人向けのピアノコミュニティもたくさん存在するので、同じ状況の仲間と情報交換すれば、「自分だけじゃない」と安心できて、もう一歩進む原動力になるでしょう。

新しい目標や楽しみを追加する

発表会や弾き合い会に参加してみる

「人前で弾くなんてハードルが高い」と思うかもしれませんが、あえて発表会や弾き合い会などにエントリーすると、ちょうどよいプレッシャーが生まれることがあります。締切や本番の日程があると嫌でも練習せざるを得ませんし、「せっかく参加費を払ったんだから頑張ろう」という気持ちになりやすいです。

大人同士のカジュアルな会ならミスしても大丈夫という雰囲気も多く、気軽にチャレンジできるでしょう。本番を乗り越えたあとの達成感や仲間との交流を味わえば、続けてきてよかったと実感できるかもしれません。

簡単なアレンジ曲でレパートリーを増やす

途中まで習った技術を活かして「どれだけ曲を増やせるか」を目標にすると、次々に新しいアレンジを試す楽しさが出てきます。市販の初心者向けアレンジを使えば、難易度の高い曲でも簡単に弾けるバージョンを楽しめます。

レパートリーが増えると、「こんなに弾ける曲がある」と自信が湧いてきて、もうやめるのは惜しく感じるでしょう。さらに友人や家族の前で「この曲なら弾けるよ」と披露して、反応をもらうのも面白いです。

途中まで学んだ自分を肯定してあげよう

過去の学習を「選択の正しさ」と捉える

大人になってからピアノを始めた自分を否定するのではなく、「あのときは確かにピアノを学びたいと思っていた。だから行動した」と認めてあげるだけでも気持ちが変わります。やり始めた理由は何だったのかを振り返れば、「音楽が好き」「憧れの曲がある」という純粋な気持ちがあったはずです。

途中でやめると、その選択や気持ちを「間違いだった」と否定してしまうことになりますが、実際は間違いではないでしょう。少なくともそこで得た知識や体験は、今再開すれば必ず生かされるのです。

未来の自分が喜ぶ姿をイメージする

これから続けていけば、1年後、3年後に「わあ、こんな曲まで弾けるようになった」と喜ぶ自分を思い描けます。逆に今やめてしまったら、数年後に「続けていればもう弾けていたかもしれないのに」と後悔するかもしれません。

こうしたイメージを持つと、過去に費やした時間がより大きな価値を持って感じられるようになります。未来の自分に「やってよかった」と言わせるために、いま一度やる気を奮い立たせるきっかけにしてみてください。

まとめ:今までの積み重ねを活かすために、もう一度ピアノに向かおう

途中まで学んだけれども忙しさや飽きで挫折しかかっている――そんな大人は少なくないでしょう。でも、これまで投じた時間やお金、そして覚えた基礎は、決して無駄ではありません。むしろ「ここで終わるのはもったいない」と考えられるだけの価値をあなたはすでに持っているのです。

始める前と比べれば、譜面の意味や指の動きなど、何かしらの進歩は必ず存在するはず。その積み重ねを続けるか、それとも捨ててしまうかで、ピアノライフの未来は大きく変わるでしょう。再スタートを切るなら、一度挫折しかけた経験があるからこそ上手くいく方法を見つけられる可能性も高いです。

例えば大きな曲でもフレーズごとに目標を細分化し、コツコツと練習を重ねたり、苦手を見極めて重点的に克服するプランを作ったり。これまでの学習経験を活かせば「ここまではできるから、次はこれを磨こう」という判断がしやすいですよね。自分の成長を客観的に記録し、少しずつでも変化を認識していけば、「続ければもっと上手くなるかも」と自然と思えてくるはずです。

今こそ、「やっぱりやめるには早すぎる」と気づいてほしいタイミングかもしれません。趣味としてのピアノは、完璧を目指す必要はなく、日々の合間に鍵盤を叩いてストレスを解消しながら少しずつ上達していく面白さが魅力です。これまで頑張ってきた自分を無駄にしないためにも、ほんの少しだけ練習を再開してみましょう。

途中まで来たからこそ、あなたには基礎があり、やり直すハードルは実はそこまで高くないかもしれません。ちょっとしたきっかけで再びピアノに向かい始めれば、「あれ、まだ指が動く」「ここまでは思ったより覚えてる」など、自分の中の蓄積を発見するでしょう。その喜びが、次のステップへのやる気を呼び起こすのです。

「ここまでやったのにやめるなんてもったいない」という感覚が少しでもあるなら、それは今からがチャンスの合図。投じた時間やお金を形に変え、あなたの人生をより豊かにしてくれるピアノの可能性を、もう一度信じてみてはいかがでしょうか。

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