むすんでひらいて(フランス民謡)
曲の概要
「むすんでひらいて」は、日本では手遊び歌として非常に有名な童謡ですが、原曲はフランスの作曲家ジャン=ジャック・ルソーによるメロディーとされています。もともとは18世紀のフランス革命前後にヨーロッパ各地で広まり、その明るく親しみやすい旋律が世界中で多くのアレンジを生んできました。
ピアノ練習曲としての「むすんでひらいて」は、リズムとフレーズの構造が非常に明快で、ピアノ初心者が音符・リズム・両手の基礎を学ぶのに最適な一曲です。
曲の背景と歴史
この曲の原曲は、フランス哲学者ジャン=ジャック・ルソーが作曲した「Contredanse(コントルダンス)」に由来しています。当初は舞踏用の音楽でしたが、後にさまざまな国で教育音楽や宗教音楽として使われるようになりました。
日本には明治時代に伝わり、戦後は幼児教育の現場で「むすんでひらいて、手をうってむすんで♪」という手遊び歌として広まりました。ピアノだけでなく、合唱やリコーダーなどでも取り上げられる、教育音楽のスタンダードです。
ピアノ初心者にとっての魅力
「むすんでひらいて」は以下のような理由で、ピアノ初心者に非常に向いています:
- メロディーが非常にシンプル:音域は「ドレミファソラ」程度で、指の移動も最小限。
- 反復が多い:メロディーやリズムが繰り返されるため、譜読みと暗譜がしやすい。
- 手遊びとの連動:手の動きと音の一致を感じながら練習することで、音感や身体表現も育ちます。
- 左右の役割がはっきりしている:右手メロディー+左手和音という基本スタイルで、両手演奏の初歩に最適。
演奏しながら自然に音楽の基礎を体得できることから、ピアノ初心者に限らず、子どもの音感トレーニングや、保育士・音楽指導者の導入教材としてもよく使われています。
どんな練習をすれば良いか
1. 右手でメロディーをなめらかに
「ド・レ・ミ・ド・ミ・ファ・ソ…」と続く明快な旋律を、まずはゆっくりと弾いてみましょう。Cポジション(ド=親指)を基本に、指を無理なく使って流れるように弾くことがポイントです。
2. 左手はシンプルな伴奏で
左手はC(ドミソ)、G(ソシレ)などの基本コードで、1拍に1回または小節ごとに軽く添える程度で十分です。和音の押さえ方と拍感を意識しながら練習を進めましょう。
3. 両手を合わせて短いフレーズから
最初から全部通そうとせず、2小節単位など短く区切って両手を合わせていくのがコツです。特に「むすんで」の部分は左右のタイミングを合わせる良い練習になります。
4. テンポと表情をつける
慣れてきたら、元気な「むすんで」と、やさしい「ひらいて」の部分で強弱をつけてみましょう。自然な音楽表現の第一歩になります。
楽譜の入手方法とMIDIデータ
「むすんでひらいて」の楽譜は、ヤマハミュージックデータショップなどで初心者用にアレンジされたプリント譜が販売されています。歌詞付き、カラー譜、音符の大きな譜面など、年代やレベルに応じて選べるのが魅力です。
MIDIデータを使えば、片手ずつの練習やテンポの変更が自在にでき、耳で旋律を確認しながら練習することができます。特に譜読みが苦手な方や、音を聴いて覚えるのが得意な方には非常に有効な学習ツールです。
まとめ
「むすんでひらいて(フランス民謡)」は、ピアノ初心者が音楽の基本を体で覚えられる素晴らしい練習曲です。指の使い方、リズム、和音の押さえ方、両手のタイミング、すべてがシンプルでわかりやすく、短期間での達成感が得られる構成になっています。
童謡としての親しみやすさと、音楽教材としての完成度を兼ね備えた一曲。ピアノの最初のステップとして、ぜひチャレンジしてみてください。